4/22/2014

事故処理現場軽視は韓国の文人優位の政治から

 今回の旅客船沈没事故処理の無機能ぶりで韓国の官僚機構の不備が露わになった。これは韓国社会の弱点からのもので、現政権の朴槿惠大統領だけの責任ではない。
 韓国だけでなく、中国でも最高権力者(皇帝)のもとには官僚機構が発達した。門閥からではなく科挙のような才能のみでもって選抜される官僚は皇帝の手足のごとく働くことを期待された。覇者は武力でもって権力を得るが、その後の統治には文官が必要だ。この文官が平和になっても残り次の覇者となる可能性のある武官が反逆しないように統治するのだ(これが元祖シビリアンコントロール)。
 つまり、この文官優位の社会体制が李氏朝鮮の両班制度(武人に対する文人優位)以来残って、その固陋性が国が弱体化する主因となり日本に併合されるに至ったと言われる。今回の事故処理で尽力しなければならない海洋警察などの現場はいわば武人的劣位におかれ、大統領の下の文人官僚の支配に甘んじている。だから、いざというときに被支配者的無責任行動が習い性となってしまう。現場が機能しなければ「文人政治」の美徳も意味がなくなる。
 一方、日本では鎌倉時代以来江戸時代まで武人政治が続いた。権力者が武力を持ち続けた方がわかりやすい統治となる。その伝統もあって、明治時代以降も現場の武力ならぬ対応力を重視する社会体制になったものと思われる。東シナ海で不屈の対応を迫られている海上保安庁も長官を現場たたき上げから重用され志気が上がっていると聞くが、そうでなくとも、現場優先の組織なので志気が保たれているのだろう。

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