10/17/2011

5兆円の補償額は原発年販売額5.4兆円より少ない

 今回の福島第一原発の事故の後始末には巨額の費用がかかる。事故原子炉そのものの後始末の費用と事故に伴う周辺地区への補償などだ。一説には5兆円規模だと言われている。これをもって、原子力発電のコストは安くはない、という議論が高まっている。
 もともと原発は初期投資は比較的高いが、燃料費が安いので、耐用年限を平均すると10円/kwh程度と言われている。再生可能エネルギーによる発電の太陽光の40円以上/kwhと比べると歴然としている。この10円に5兆円を加えるとどうなるか?
 一年間の全国電力使用量は9,000億kwh(2010年実績)である。原発のシェアは30%として、2,700億kwhが原発発電量となる。5兆円を一年間だけで償還するとすると、50,000億円/2,700億kwh=18.5円/kwhとなり、これだけでは太陽光発電との差額40-10=30円/kwhを超えることはない。2,700億kwhの販売額は20円/kwhの単価として5.4兆円と巨額だから、5兆円はその1年分以下でまかなえる。以上を東電だけでなく、全国合計で比較するのは、たまたま、東電原発の事故だったが、九電力どこでも考えられるので、共済制度にふさわしいからだ(今回は間に合わなかった)。
 このような事故は毎年起きるわけではない。事故の引き金となった大津波だったら、千年に一度の事故だから、その考えなら、年あたり50億円、発電単価で言えば、0.0185円/kwhのみのアップとなる。100年に一度の大地震の考え、あるいは、原発の最初の稼働(1963年)以来の約50年に一回起きたとすれば、毎年それぞれ500億円、1,000億円の負担で済むことになる。

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