5/11/2011

警戒区域帰宅は累積線量管理で

 一般人の許容累積放射線量を1mSvから20倍の20mSvに「緩和した」ことに涙の抗議をして内閣参与を辞任した科学者がいた。国際基準では1~20の範囲で決めてよいことになっている。それはそれとして、20倍の範囲まで許されるとはきわめて曖昧だし、許された方(国家)もその範囲のどの値にしたらよいか戸惑うのではないか?
 許容基準だから、世界中の人間が同じ体質だと仮定して、一定の値として決めなければ、少なくとも運用できないではないだろうか、もちろん、子どもとか妊婦は別にしても。よく調べると、緊急時は緩い値でも許されるが、緊急時を脱していくにしたがい、本来あるべき数値(1mSv)に戻すべきなのだそうだ。
 人が一年間に被曝する自然放射能は世界平均で2.4mSvだから、それと比べて1mSvは低そうだが、それに加えるのだからゼロに近いほうがよいに決まっていて、それはせいぜい1mSvだというのは肯けないこともない。リスクは少ないほどよいという基準に見える。
 また、被曝量というのは累積量が問題だから、短時間なら少し強度があっても構わないのだろう。そのことと、職業として原発などに従事する作業員はある程度の被曝は自身が覚悟しているから、なんと、50倍とか100倍の50~100mSvに累積するまでを作業時間の限度とし、さらに今回の措置として、暫定的に250mSv(ただし5年間総量)まで緩和しているのだから、同じ人間に対してどうなんだろう、という疑問がある。
 いま福島第一原発の20km圏内の住民は警戒区域を設定され、限られた時間の一時帰宅しか許されない。ただ、被曝のリスクと帰宅できないリスク(精神的な苦痛も含め)を比較して、前記作業員並みに住民個人個人が累積被曝量を管理した上での帰宅とか、家畜の飼育とかの行動を決定できないものだろうか?同心円状の距離に応じて残留放射能があるわけではないし、場所によりまだら模様に汚染されているのだから。

0 件のコメント:

コメントを投稿